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虚無日記

残念な人の残念な人による素敵な人のための日記

憲法解釈論考(『論理哲学論考』のパロディー)

 本稿は、小嶋和司・大石眞(2011)『憲法概観』有斐閣双書、第7版のpp.1-17にあたる部分を、ウィトゲンシュタインが記した『論理哲学論考』をネタにパロディー化(両著作には敬意を持っている)して、まとめあげたものである。詳しいことはもちろん『憲法概観』の当該ページを参照してほしい。

 当該ページは、小嶋が、憲法解釈において、教条的解釈をなぜとろうとしないのか*1、その理由が具体的に初めから書かれており、それについての紹介が出来ればいいなと考えている。小嶋和司はいいゾ。

 何か問題が生じれば、この記事は削除する。

 では、本題に入ろう。 

 

1.人間は共同生活の中においてのみ生存しうる。

 1-1.人民の社会生活の規範は、2つのことを調整するものとして決定されなければならない。

  1-1-1.社会の現実的必要や現実的条件。

  1-1-2.社会において共存すべき諸価値・諸理想。

 

2.人類は、ある文化段階に達すると、かならず全人格没入的な組織体を形成する。

 

3.全人格没入的な組織体の支配権が、組織固有の権威によるとされるものが国家である。

 3-1.現代国家は、国家三要素説で説明されるような特徴がある。

 

4.憲法は国家の存在を前提とした法である。

 

5.憲法とは国家や政府の組織原理・組織規範である。

 5-1.このことを実質的な意味の憲法という。

 5-2.実質的意味の憲法は不文の慣習・習律にとどめておくことができる。

  5-2-1.不文の慣習・習律を中心として全体の憲法秩序が形成されたとき、この全 体秩序を不文憲法という。

  5-2-2.特定の制定法により基本秩序が定められ、これを中心として成文・不文の法で全体の憲法秩序が形成されるとき、これを成文憲法という。

 

6.「憲法典」とは実質的意味における憲法を内容とする法典である。

 6-1.「法典」とは、特定分野の法規範の多くを組織的体系として網羅的に規定する制定法である。

 

7.憲法典の規定が、その文字においてのみ着目して、文字のままで法として実施するには不完全である。

 7-1.憲法典は、その内容においても表現においても、実質的意味における憲法法源としては不完全なものである。

 7-2.憲法典は、多くの場合、政治情勢の変動期に、政治体制や政治組織の変更を目的として制定される。

  7-2-1.変更の際、主導的役割を果たすのは、政治家である。

   7-2-1-1.政治家が主導的役割を果たすため、憲法典の規定のあり方に3つの特色をもたらした。

    7-2-1-1-1.内容は原則宣言的または大綱宣言的なものとなる。

    7-2-1-1-2.国政作用の内容についての規定は、政治家が、制定の時にとくに重要と考えた価値・理想を指示するにすぎない。

    7-2-1-1-3.新しい政治組織・政治権力への支持と信従を確保しようとの目的に仕えるべく、選定されることが多い。

 

8.現実的な憲法規範をよみとるためには、憲法典に直接述べられていない、国家生活の本質や立憲的原則などから導出される不文の法理を考慮に入れるほか、社会の現実的諸条件や社会の現実的必要にも充分な尊重をあたえて勘考することが求められる。

 

 

 

*1:とろうとしない姿勢は小嶋(2004)『憲法概説』信山社の序で伺えられる